君たちはどう生きるか

この物語は吉野源三郎の原作で1937年に出版された。
今も多くの人に読み継がれる歴史的名著を羽賀翔一氏が漫画として書き下ろした作品。


コペルというあだ名の中学生とその叔父さんの物語。
叔父との対話、手紙のやりとりの中でコペル君の心は逞しく育まれていく。それは読む者の心へも共鳴し、瑞々しい感覚で再び世界を見つめ直すことになる。
つまりは感動による力。
この一冊の本と出会い、心の奥けら湧き出る歓喜を全身で味わった。
僕に子どもがいたとすれば、きっとこの本を送るだろう。
タイムマシンがあったなら中学生の自分にも贈りたい。
また、20歳の日への自分へも贈りたい。
感受性の多感な頃にこの本を読むと、どのような反応が起こるのか。
それが楽しみで仕方ない。


内容は他愛のないコペル君の学校での出来事、友人関係、そこでの気付きや疑問、葛藤する思春期。
コペルとは地動説を謳ったコペルニクスからの由来。
叔父が名付けた。
コペルという名前からも分かるように物理的な思考、分子の不思議という理科的エッセンスが散りばめられている。
世の中の光景を物理というファインダー越しに眺めるコペル君。
その未知なる可能性、魅力に胸を踊らせる。
しかし、そんな彼にも年相応の悩みが訪れる。
サイエンスと情緒がそこでクラッシュする。
答えのない問題の中でコペル君は足掻く。
それは大人の僕が見ていてもあまりに難問で。
心や頭では分かっていても、行動に起こすことができない逆説に苦しむ。
乗り越えるのは何の力か。
そして苦しみさえも、その先の人生という物語において重要な養分であることを学んでいく。


コペル君の葛藤に勇気付けられるのは、子どもだけではない。
助言を与える叔父さんもまた、そしてこの本の読者もまた魂の震えを覚える。
サイエンスは情緒と繋がっている。
それはあの天才数学者、岡潔の信念のように。


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