想像力を利用する。

「相手の想像力を利用しなきゃならんのです」



昨日、お店でとあるお客さんと会話していた中での言葉。
シンプルであるが、興味深い。
その言葉は、うねりをつくりながら体に入ってゆき、胸の落ち着きにまでくると、そっと響いた。


その方は仕事で世界中あちこちを飛び回っている方。
国の重役相手に商談をまとめる。


大抵はウェルカムなもてなしを受けるけれど、時と場合によっては招かれざるシチュエーションにも出くわす。
あらゆる状況でも、その方は一人で乗り込むのだという。
秘書もつけない、運転手もつけない。
その名の通り、孤立無援。



でも、それには明確な理由がある。

「外国から一人で来た人間を、誰も無下にできないでしょう?」

誰よりも真摯に待遇してもらうために一人で行くのだと。

「団体で行けば、団体として扱われる。一人で行けば『よくぞ来てくれた』という扱いになる」



面白いのが、招かれざる客の立場でも必ず一人で乗り込むということ。

「一人だとね、相手がビビるんです。『コイツ、実はとんでもない力を持っている奴なんじゃないか』とか。『コイツの裏には大勢の仲間がいるんじゃないか』とか。勝手にね、色々考え出すんですよ」

相手の想像力を使う、言わば相手の知らない自分ののりしろをイメージさせる。
このありえない状況を脳は勝手に論理的な答えを導こうとするため、相手は自ずと驚愕の想像力を発揮する。
それは、こちらの空白が多ければ多いほどに。


空白は残さなければならない。
そして、ある種のハッタリが、相手のリズムを崩し、空気を制することに繋がる。


これは商談だけでなく、あらゆる仕事に言い得ることだと思う。
もちろん小説家、演劇における演出家や、映画監督などの芸術の分野でもこの能力は求められるだろう。
観客の想像力を最大限に利用して、事実以上の効果を引き出す力。


「マニュアル本なんて捨ててしまえ。あんなもの、みんなと横並びになるためのもの。そこから抜きん出ようと思えば、誰もやらないことを考えろ。そうしなければ相手は自分に興味を持ってくれない」


1000人の中の999人として見られるか、特別な1人と見られるか。
それは自分の行動次第。
チャンスは誰しもに平等に与えられている。
関連記事

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する